好感触の格安航空券

本を見て勉強しようとしたところで、素地がないからわからないのです。 自分の中で少しずつ不安が募ってきました。 当時私はまだ二十一、二歳です。

世間でいえば遊び盛りの年ごろに一生懸命店をやっていたので、親父くらいの年齢のお客さまに、「君はえらいな。うちの息子も君と年が変わらないけれど、まだ全然しっかりしている」とよく誉められたものです。 けれどそれは、挨拶のきちんとできる幼稚園の年長の子どもがえらいなと誉められるのと同じで、小学校六年生になれば言えて当たり前になるのではないか。
同様に、私が三十歳になっても同じような料理を作り続けていたら、「こんな料理しかできないのか」と言われるのではないだろうか。

三十になっても四十になってもハンバーグを焼き続ける毎日で、本当に良いのか。
そんな気持ちでいっぱいになってしまいました。

そうなったら私はもう、ジッとしていられません。 店を売って、再び大阪に修業に出ることにしたのです。 いざ大阪に行き、修業先を探してアルバイトニュースを見てみると、ドイツ料理のコック募集が載っていました。
そのころは物をよく知りませんでしたから、ドイツとフランスは地図で見ると隣同士だし、フランス料理もドイツ料理も似たようなものだろうと思って面接を受けに行ってしまった。 店に行くと、金髪で青い目をしたドイツ人がコックコートを着て、流暢な日本語をしゃべりながら対応してくれた。 もう、その店の料理を食べもせずに即決です。

給料はいくら欲しいかと聞かれたので、いくらでもいいですと答えました。 ただし三カ月後にはこれくらいにして欲しいという金額は明示しました。
伝えたのは、年齢的に考えると少し高めの金額です。 三カ月で自分を評価してもらえないのなら、この店にいる意味はないと考えていたのです。 自信家だったことの表れと言えるかもしれません。 店には私より四、五歳上のシェフがいました。

とても優しい人だったのですが、料理のセンスが全然なかった。 私は、この人からは料理の勉強はできないなとすぐに悟りました。 ならば頼みの綱は金髪の彼だと。

すると、「ワタシ、料理できないです」。 彼はコックコートを着てウエイターをやっているだけだったのです。
入ってすぐに辞めるわけにもいかず、結局は自分でやるしかないという状況になってしまいました。 自分の星回りの悪さを呪ったものです。

当時は本屋に行ってもドイツ料理の本なんて置いていません。 そこで金髪の彼に、ドイツから原書を取り寄せてもらった。

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